工程


木固め

 白木の状態では、水分や油分を吸い込み変形などの原因になります。この後の工程で、漆が吸い込むのを防ぐ目的もあり、まず木地に漆を掛けます。
 この工程は、生漆(きうるし)、または糊漆(のりうるし)をそのまま塗ります。溶剤等は使いません。


磨き

 木地固めの後、充分乾固させてから磨きをします。表面のザラつきを取り除き、その後の工程の漆のくいつきを良くします。


布着せ

 木地はどうしても均一では無く、補強をしたほうが良い箇所があります。
 ここで、麻や綿の布を糊漆で貼ります。この工程を布を”着せる”といいます。
 樹の種類(導管の太さ・向き)や形状、用途により着せる箇所が変わります。椀ですと、内の底、裏の底、天縁(口の当たるところ)、高台縁(置いたとき当たるところ)が一般的です。
 
 例えばきぬた椀ですと栃の木ですので、内の底と裏の底に着せてあります。



布目揃え

 布着せの漆が充分乾固したら、布を揃えます。布には撚りなど不均一な箇所があり、また天縁などは幅が多少ずれます。
 刃物で均一にします。撚りなどは、この後の下地より高くなることが多く、下地研ぎの度に頭が出てしまいます。見逃せません。


惣身(そうみ)

 布の段差や木地の荒れなど、大きな補修箇所に糊漆と木の粉を混ぜ合わせた下地をします。これにより一気に段差を無くします。ただ、時間が経つと凹んでくるため、見越して付けます。
 木の粉は、白木のままだと雑菌が繁殖しやすいので、一度炒って焦がして使用します。


惣身磨き

 惣身が充分乾固したら、磨きます。思ったより凹まなかったところは刃物で削っておきます。



2辺地糊地

 惣身の上に、糊漆と2辺地粉を混ぜた下地をします。
 なぜ糊かといいますと、糊は乾固する際に体積が大きく減ります。その残った部分には繊維状の糊がクッションになって絡んでいます。
 ほんの少しでも衝撃吸収になるよう、考えられています。
 因みに2辺地とは、海に蓄積したプランクトン等からなる珪藻土を 焼いたモノです。天然のモノです。


2辺地磨き

 2辺地の下地を磨きます。表面を磨き落として滑らかにします。


3辺地さび

 2辺地より細かい3辺地の粉を、砥の粉・生漆を練ったものに混ぜ合わせて、2辺地までの箆(へら)付けの境目を無くすことも考えて、ここでは刷毛で付けます。